職場でのハラスメントは年々多様化しており、従来のセクハラやパワハラだけでなく、様々な「〇〇ハラ」が問題となっています。
本記事では、現代の職場で知っておくべき20種類のハラスメントについて、具体的な事例や対処法を交えて解説します。
自分や同僚が被害に遭っていないか、また管理職として適切な対応ができるよう、最新のハラスメント事情を理解しておきましょう。
職場ハラスメントとは?法律上の定義と現状
ハラスメント(harassment)とは、いわゆる「嫌がらせ」を意味する言葉で、相手に不快感や精神的苦痛を与える言動のことです。
特に職場では、上下関係や立場の違いから、被害を受けていても声を上げにくい環境があります。
厚生労働省の調査によると、職場でのハラスメントを経験した人は全体の32.5%にのぼり、3人に1人が何らかのハラスメント被害を経験していることになります。
さらに、労働局への相談件数は年々増加傾向にあり、2021年度には8万件を超える相談が寄せられました。
労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)では、企業に対してハラスメント対策が義務付けられています。
しかし、法律で明確に定義されているのは一部のハラスメントのみで、職場で実際に発生している多様なハラスメントには対応しきれていないのが現状です。
法律で定められた主要ハラスメント5種類
セクハラ(セクシュアルハラスメント)の定義と事例
セクハラとは、「職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により、労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されること」と定義されています。
具体的な事例
- 「結婚はまだ?」「子どもはまだ?」など、しつこく聞くこと
- 不必要な身体的接触(肩を揉む、腰に手を回すなど)
- 性的な冗談、からかい
- 職場に卑猥な写真や画像を貼る、見せる
- 食事やデートにしつこく誘う
法的根拠: 男女雇用機会均等法第11条、第11条の2
対処法
- はっきりと拒否の意思を伝える
- 証拠(日時、場所、内容、証人など)を記録する
- 社内の相談窓口や人事部に相談する
- 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談する
【関連記事】セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは?軽いノリが“加害”になる時代
パワハラ(パワーハラスメント)6類型と具体例
パワハラとは、「職場における優越的な関係を背景として、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、労働者の就業環境が害されること」と定義されています。
厚生労働省はパワハラを以下の6つに分類しています。
パワハラの6類型と具体例
- 身体的な攻撃:暴行、傷害(叩く、物を投げつけるなど)
- 精神的な攻撃:脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言(「使えない」「バカ」など人格を否定する発言)
- 人間関係からの切り離し:隔離、仲間外し、無視(会議に呼ばない、情報共有しないなど)
- 過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制(能力や経験とかけ離れた業務、終業間際の無理な業務指示)
- 過小な要求:業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
- 個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること(交友関係の詮索、SNSのチェックなど)
法的根拠: 労働施策総合推進法第30条の2
対処法
- 冷静に対応し、感情的にならない
- 上司のパワハラの場合は、さらに上の上司や人事部に相談
- 就業規則やハラスメント防止規定を確認する
- 産業医や社外の相談窓口を活用する
【関連記事】パワーハラスメント(パワハラ)とは?怒鳴り・無茶ぶり・無視…あなたの職場、大丈夫?
マタハラ(マタニティハラスメント)防止措置と相談先
マタハラとは、「妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いや、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」のことです。
具体的な事例
- 妊娠を報告したら「迷惑だ」と言われた
- 妊娠中に「他の人に迷惑がかかる」と責められた
- 産休・育休の取得を強制的に短縮された
- 妊娠中の体調不良を理由に降格された
- 「子どもがいると残業できないだろう」と言われ、重要な業務から外された
法的根拠: 男女雇用機会均等法第9条、育児・介護休業法第10条等
対処法
- 制度利用の権利を事前に確認しておく
- 上司だけでなく人事部にも妊娠・出産の報告をする
- 言動や不利益な取り扱いの内容を記録しておく
- 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談する
【関連記事】マタニティハラスメント(マタハラ)とは?「妊娠=迷惑」なんて言わせない!
ケアハラ(ケアハラスメント)介護離職の原因と対策
ケアハラとは、介護休業等の制度利用を理由とした不利益取扱いや嫌がらせのことです。
家族の介護をしている従業員に対する「介護と仕事の両立」を妨げるような言動が該当します。
具体的な事例
- 「介護があるなら夜勤をもっと代わってほしい」と強要される
- 介護休業の取得を申し出たら「昇進は諦めてね」と言われた
- 時短勤務を希望したが「みんな迷惑している」と同僚から言われた
- 「親の介護なら実家に帰ればいいのでは?」と転職を勧められた
法的根拠: 育児・介護休業法第16条、第16条の4、第16条の7等
対処法
- 介護休業制度の詳細を人事部に確認する
- 地域包括支援センターなどの介護の相談窓口も積極的に活用する
- 社内の両立支援制度を確認する
- タイムスケジュールを上司・同僚と共有し、理解を得る努力をする
【関連記事】ケアハラスメント(ケアハラ)とは?「介護があるから」でキャリアを諦めるな!
リモハラ(リモートワークハラスメント)テレワーク時代の新問題
リモハラとは、テレワークにおいて発生する新たなタイプのハラスメントです。
コロナ禍でのリモートワーク普及に伴い注目されるようになりました。
具体的な事例
- 常にオンライン状態を強制される(チャットへの即時返信を求められるなど)
- プライベート空間の映り込みを指摘・批判される
- 業務時間外に頻繁に連絡が来る
- カメラをオンにするよう強制される
- 「在宅だから暇だろう」と過剰な業務量を求められる
対処法
- 業務時間と休憩時間を明確にする
- 背景をぼかす機能を利用する
- 業務の進捗状況を定期的に共有する
- 無理な要求には理由を説明して断る
- 社内ルールの策定を提案する
【関連記事】
職場で増加中!知っておくべきハラスメント10種類
アルハラ(アルコールハラスメント)飲み会トラブルの実態
アルハラとは、飲酒を強要したり、飲酒にまつわる言動で相手に苦痛を与えたりするハラスメントです。
具体的な事例
- お酒が飲めない人に「一気飲み」や「イッキ」を強要する
- 「飲み会に参加しないと評価に影響する」と脅す
- お酒を断ると「付き合いが悪い」「空気が読めない」などと批判する
- グラスが空くとすぐに注ぐ「おかわり強要」
対処法
- 飲めない理由(アルコール不耐症、持病、薬の服用など)を事前に伝える
- 上司や人事に飲み会の文化改革を提案する
- 断る理由を明確に伝える(「車で来ている」「明日早いので」など)
- 参加できない場合は別の機会に親睦を深める方法を提案する
【関連記事】
スメルハラ(スメルハラスメント)香水・体臭問題の対処法
スメルハラとは、強い香りや体臭などで周囲の人に不快感を与えるハラスメントです。
具体的な事例
- 強い香水やアフターシェーブローションをつけている
- タバコのにおいが服や髪に染みついている
- 体臭や口臭が強く、近くで仕事ができない
- 汗をかいた後のにおいケアをしていない
対処法
- 個人的に伝えるのが難しい場合は、匿名でのアンケートや部署全体への注意喚起などを提案する
- 社内規定に「香りの配慮」について追加することを提案する
- 自分自身も香りに配慮する(香水は控えめに、制汗剤の使用など)
【関連記事】スメルハラスメント(スメルハラ)とは?香り・ニオイが職場のストレスになる瞬間
モラハラ(モラルハラスメント)見えない精神的暴力の見分け方
モラハラとは、言葉や態度、仕草などによって相手の人格や尊厳を傷つけ、精神的に追い込む行為です。
身体的な暴力を伴わないため「見えないハラスメント」とも呼ばれます。
具体的な事例
- 「あなたのせいで」と責任転嫁する
- 他者の前で恥をかかせる
- 必要な情報を与えない
- 無視する、存在を否定する
- 過剰な監視や干渉をする
対処法
- 自分を責めないこと(被害者に非はない)
- 信頼できる第三者に相談する
- 言動や行為を記録に残す
- 心理的影響が大きい場合は、心療内科や精神科などの専門医に相談する
【関連記事】モラルハラスメント(モラハラ)とは?“見えない暴力”が心を削る
カスハラ(カスタマーハラスメント)顧客からの迷惑行為対策
カスハラとは、顧客や取引先からの理不尽な要求や暴言など、従業員に対する嫌がらせ行為のことです。
具体的な事例
- 長時間にわたるクレーム
- 理不尽な要求や暴言
- 従業員の個人情報を聞き出そうとする
- SNSでの誹謗中傷の脅し
- セクハラやストーカー行為
対処法
- 一人で対応せず、上司や同僚に応援を求める
- 録音や記録を残す
- 会社としてのマニュアル作成と研修の実施
- 悪質な場合は警察に相談する
- 従業員のメンタルケア体制を整える
【関連記事】
ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)性差別的言動への対応
ジェンハラとは、性別に基づく差別的な言動や不平等な扱いなど、性別を理由に相手を不快にさせる行為です。
具体的な事例
- 「女性なんだから結婚したら辞めるだろう」という発言
- 「男のくせに弱音を吐くな」などの性別役割を強調する発言
- 女性にだけお茶くみや掃除を頼む
- 「男性だからこの仕事は無理」と業務から外す
対処法
- 性別に関係なく能力ベースで仕事を割り振る
- 性差別的な発言があった場合はその場で指摘する
- 役職や業務の機会を性別に関係なく平等に設ける
- ジェンダー平等に関する社内研修を実施する
【関連記事】
エイジハラ(エイジハラスメント)年齢差別の具体例と防止策
エイジハラとは、年齢を理由とした差別や嫌がらせのことです。若年層にも高齢層にも発生します。
具体的な事例
- 「若いから経験が足りない」と意見を聞かない
- 「年寄りはITに弱い」と決めつける
- 「若いのに出世が早い」と陰口を言われる
- 「定年間近だから重要なプロジェクトから外す」
対処法
- 年齢ではなく能力や実績で評価する文化を作る
- 世代間のコミュニケーションを促進する取り組みを行う
- 若手と年配者の混合チームで業務を行う
- 年齢に関係なく能力開発の機会を提供する
【関連記事】
アカハラ(アカデミックハラスメント)教育機関特有の問題
アカハラとは、教育・研究機関において、教授や上級研究者などが、その地位を利用して学生や下級研究者に行う嫌がらせや権力の乱用のことです。
具体的な事例
- 理由なく研究テーマを変更させる
- 必要な研究資源や機会を与えない
- 論文に名前を載せない/不当に名前を載せる
- 学位取得を不当に遅らせる
- 過剰な業務を強いる
対処法
- 大学のハラスメント相談窓口に相談する
- 第三者の教員や事務職員に相談する
- 学外の相談窓口(学生支援機構など)を活用する
- 記録を残し、複数人で証言できるようにする
【関連記事】
テクハラ(テクノロジーハラスメント)IT知識格差によるいじめ
テクハラとは、IT知識の差を利用したハラスメントのことです。
特にデジタルネイティブ世代と非デジタルネイティブ世代の間で発生しやすい問題です。
具体的な事例
- IT用語を多用して説明し、理解できないように仕向ける
- ITスキルが低いことを公然と批判する
- 基本的なPC操作を教えずに「こんなこともできないの?」と侮辱する
- デジタルツールの使い方を意図的に教えない
対処法
- IT研修の機会を増やす
- 質問しやすい環境を整える
- マニュアルや手順書を整備する
- メンター制度を導入する
【関連記事】
タイムハラ(タイムハラスメント)時間外連絡と働き方改革
タイムハラとは、勤務時間外の連絡や業務指示により、プライベートな時間を侵害するハラスメントです。
具体的な事例
- 深夜や休日にメールや電話で業務連絡をする
- 「急ぎ」と称して退社直前に業務を振る
- 休暇中に「ちょっとだけ」と仕事を頼む
- 「今日中に」と無理なスケジュールを強要する
対処法
- 勤務時間外の連絡に関するルールを設ける
- 緊急時の対応方法をあらかじめ決めておく
- タスク管理を徹底し、急な依頼を減らす
- 「返信は翌営業日」などの自動返信を活用する
【関連記事】
ソーハラ(ソーシャルメディアハラスメント)SNSによる嫌がらせ
ソーハラとは、SNSを利用した嫌がらせや不適切な投稿により、相手に精神的苦痛を与える行為です。
具体的な事例
- 職場の同僚をSNSで晒す
- 同僚のプライベートなSNSへのフォローを強要する
- 会社の内部情報をSNSに投稿する
- 職場の人間関係をSNSで暴露する
対処法
- SNS利用ポリシーを策定する
- プライベートアカウントと業務用アカウントを分ける
- 同僚とのSNS上での関係は慎重に考える
- 不適切な投稿は保存して証拠として残す
【関連記事】
最新事例!コロナ禍で注目された新型ハラスメント5種類
コロハラ(コロナハラスメント)感染者差別の問題点
コロハラとは、新型コロナウイルス感染症に関連した差別や嫌がらせのことです。
感染者やその家族、医療従事者などが対象となります。
具体的な事例
- 感染した従業員の個人情報を不必要に拡散する
- 感染した後、職場復帰した人を避ける
- 「あの人は感染リスクが高い行動をしている」と噂を広める
- 感染者の家族も避ける
対処法
- 正確な情報を共有し、差別や偏見をなくす教育を行う
- 感染者の個人情報保護を徹底する
- 職場での感染対策ルールを明確にする
- 差別的言動に対しては毅然と対応する
【関連記事】
ワクハラ(ワクチンハラスメント)接種の強制と自己決定権
ワクハラとは、ワクチン接種に関する嫌がらせや差別のことです。
接種の有無によって人を区別したり、接種を強制したりする行為が該当します。
具体的な事例
- 「ワクチンを打たない人は非常識」と批判する
- ワクチン接種の有無で職場での扱いに差をつける
- 接種を受けていない人を会議や飲み会に呼ばない
- 接種の有無を無理に聞き出す
対処法
- ワクチン接種は個人の判断であることを認識する
- 接種の有無で差別しない職場環境を作る
- 医学的な理由で接種できない人がいることへの理解を深める
- 個人の健康情報は原則として開示不要であることを周知する
【関連記事】
オワハラ(お詫びハラスメント)謝罪強要の心理的負担
オワハラとは、ミスやトラブルが発生した際に、必要以上に謝罪を強要するハラスメントです。
具体的な事例
- 小さなミスに対して何度も謝罪を求める
- 問題解決よりも謝罪の形式にこだわる
- 本人だけでなく上司にも謝罪を要求する
- 「誠意が足りない」と何度も謝罪させる
対処法
- ミスが起きた場合は問題解決を優先する
- 謝罪の回数や形式ではなく、再発防止に重点を置く
- 顧客対応マニュアルを整備し、過剰な謝罪要求への対応方法を示す
- 精神的負担が大きい場合は上司や人事に相談する
【関連記事】
音ハラ(音ハラスメント)テレワークでの騒音問題
音ハラとは、職場や在宅勤務中の音が原因で発生するハラスメントです。
特にコロナ禍でのテレワークの増加に伴い、問題視されるようになりました。
具体的な事例
- オンライン会議中の不必要な物音や雑音
- マイクをミュートにせず周囲の音が漏れる
- 「自宅なのに静かにできないのか」と批判する
- キーボードを強く叩く音やイヤホンからの音漏れ
対処法
- 発言時以外はマイクをミュートにする習慣をつける
- ノイズキャンセリングイヤホンやヘッドセットを活用する
- 在宅勤務中は家族の理解を得る
- 会議のルール(発言方法など)を明確にする
【関連記事】音ハラスメント(音ハラ)とは?職場や日常での問題点と対策
エコハラ(エコロジーハラスメント)環境配慮の押し付け
エコハラとは、環境保護や省エネを理由に、過度な我慢や行動を強いるハラスメントのことです。
具体的な事例
- 「SDGsの時代なのに」と環境配慮行動を強制する
- エアコンの使用を極端に制限する
- マイボトル・マイ箸を持っていない人を公然と批判する
- 「環境に悪い」という理由でプリントアウトを全面禁止する
対処法
- 環境配慮は重要だが、個人の状況や健康を考慮する
- 過度な押し付けではなく、自主的な取り組みを促す
- 会社として取り組むべき環境対策を明確にする
- 健康や業務効率とのバランスを考慮する
【関連記事】
ハラスメント相談窓口・解決方法完全ガイド
社内で相談すべき部署と伝え方
ハラスメントを受けた場合、まずは社内の相談窓口に相談することが一般的です。
相談先の例
- ハラスメント相談窓口(専用窓口がある場合)
- 人事部
- 上司(加害者が上司の場合はさらに上の上司)
- 労働組合
効果的な伝え方
- 具体的な事実を時系列で説明する
- 感情的にならず、客観的に伝える
- 自分がどう感じたかも伝える
- どのような解決を望むのかを明確にする
外部の相談窓口一覧(労働局・弁護士・NPO)
社内で解決が難しい場合や、外部の専門家に相談したい場合は以下の窓口があります。
公的機関
- 都道府県労働局の総合労働相談コーナー
- 労働基準監督署 →【参考サイト】公式 全国労働基準監督署の所在案内
- 地方自治体の労働相談窓口
専門家・民間団体
- 弁護士会の労働相談窓口
- 日本産業カウンセラー協会
- ハラスメント対策専門のNPO団体
無料相談窓口
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 自治体の無料法律相談
証拠の集め方と記録の重要性
ハラスメントに対処するためには、証拠を集めておくことが重要です。
効果的な証拠の残し方
- 日時、場所、内容、関係者を記録したメモを作成する
- メールやメッセージのやり取りを保存する
- 可能であれば証人を確保する
- 医師の診断書(精神的苦痛が大きい場合)
- 録音(※法的に問題ない範囲で)
記録する際のポイント
- 客観的事実と主観的感情を分けて記録する
- なるべく詳細に記録する
- 時系列に整理する
- 第三者にも分かりやすく整理する
労働問題に強い弁護士の選び方
法的手段を検討する場合、弁護士選びは重要です。
弁護士選びのポイント
- 労働問題・ハラスメント問題の取扱実績があるか
- 初回相談が無料か、費用体系が明確か
- 相談しやすい雰囲気か
- 解決までの見通しを具体的に説明してくれるか
相談前の準備
- これまでの経緯を時系列でまとめる
- 証拠資料を整理する
- 具体的に何を相談したいのかを明確にする
- どのような解決を望むのかを考えておく
会社が実施すべきハラスメント対策と防止法
2022年法改正で義務化された防止措置とは
パワーハラスメント防止措置が2022年4月から中小企業にも義務化されました。
企業には以下の対策が求められています。
企業に求められる防止措置
- ハラスメントの内容・方針を明確化し、周知・啓発すること
- 相談窓口を設置すること
- 相談があった場合、適切に対応すること
- プライバシー保護や不利益取扱いの禁止
罰則規定
直接的な罰則規定はありませんが、企業名公表などの間接的なペナルティがあります。
また、ハラスメント対策を怠った企業は、訴訟リスクや風評被害のリスクも高まります。
ハラスメント研修の効果的な進め方
ハラスメント防止には、定期的な研修が効果的です。
効果的な研修のポイント
- 参加型にする:一方的な講義ではなく、グループディスカッションやロールプレイを取り入れる
- 具体例を示す:「これはハラスメント?」というケーススタディを用いる
- 定期的に実施する:年1回以上の頻度で実施し、内容をアップデートする
- 全社員対象:管理職だけでなく、全社員を対象とする
- 外部講師の活用:社内の人間関係に左右されない、中立的な立場からの研修
研修内容の例
- ハラスメントの定義と種類
- 加害者・被害者になりうる状況の理解
- 自社の相談窓口の利用方法
- グレーゾーンの事例検討
- アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)への気づき
相談窓口設置のポイントと運用方法
効果的な相談窓口の設置は、ハラスメント対策の要です。
相談窓口設置のポイント
- 複数のルートを用意:直属の上司、人事部、外部窓口など
- 匿名性の確保:匿名での相談も受け付ける体制
- 中立性の担保:利害関係のない第三者を含める
- アクセスの容易さ:オンライン相談や電話相談など、相談しやすい方法を用意
- 外部委託の検討:専門の相談機関への委託も一案
運用上の注意点
- 相談者のプライバシー保護を徹底する
- 迅速な初期対応を心がける
- 相談したことによる不利益取扱いを禁止する
- 定期的に窓口の利用状況や効果を検証する
再発防止のための職場環境改善策
ハラスメントが発生した場合、再発防止のための環境改善が重要です。
具体的な改善策
- コミュニケーション改善:定期的な1on1ミーティングの実施
- 透明性の確保:評価基準や昇進条件を明確化
- 多様性の尊重:ダイバーシティ&インクルージョン推進
- 働き方改革:長時間労働の是正、休暇取得の促進
- アンケート実施:定期的な職場環境調査
組織文化の改善
- 上司の「指導」と「ハラスメント」の線引きを明確にする
- 「ハラスメントを見過ごさない」という姿勢を組織全体で共有する
- 「報告・連絡・相談」を奨励する文化を醸成する
- 経営層自らがハラスメント防止に取り組む姿勢を示す
まとめ|ハラスメントのない職場づくりの第一歩
職場のハラスメントは、単に個人間の問題ではなく、組織全体の問題として捉える必要があります。
多様なハラスメントの存在を知り、予防と対策に取り組むことが、健全な職場環境づくりの第一歩です。
ハラスメント対策のポイント
- 知識を持つ:様々なハラスメントの種類と事例を知る
- 防止策を講じる:研修や啓発活動を通じて予防する
- 相談体制を整える:問題が生じた際の相談窓口を設置する
- 適切に対応する:問題発生時に迅速かつ適切に対応する
- 継続的に改善する:定期的に取り組みを見直し、改善する
ハラスメントのない職場は、従業員の心身の健康を守るだけでなく、生産性や創造性の向上、人材定着率の改善など、企業にとっても大きなメリットがあります。
一人ひとりが尊重され、いきいきと働ける職場環境の実現を目指しましょう。
※本記事の内容は2023年時点の情報に基づいています。
法改正や新たなハラスメント概念の登場により、内容が変わる可能性がありますので、最新情報を確認することをお勧めします。